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思考散逸

ネットの宇宙の片隅の論理と思考の実験劇場

岩田聡氏一周忌に思う

実はこの記事を書き直してもう3回目になります。

昨日、7月11日はは岩田聡・元任天堂社長の一周忌でした。
一周忌に合わせてアップしようとしたのですが、例によって間に合わず。
大逆転裁判もそうでしたが、どうも私は思い入れが過ぎると変な力みが出て書けなくなるようです。
普段はテキストエディタに打ちこんでからブログツールに張り付けるのですが、今回は気分を変えて思いつくままにブログに書き連ねてみることにしました。 


岩田さんは私がとても影響を受けた人です。
といっても、ネットなどの配信記事で人となりを伺うだけで、直接会ったことは一度もないのですが。

nyanmage00.hatenablog.com

一年前、 訃報を受けた直後にこれを書きました。
当時はまだブログの方向性が定まらず、試行錯誤の連続だったのですが、ここでは自分の心象をストレートに書けたのではないかと思っています。

 
それからの私は、もう岩田さんの言葉が聞けないことがあまりにショックで、『社長が訊く』や『ほぼ日刊イトイ新聞(以下ほぼ日)』等の記事を読み続け、直接会った事もない岩田聡という人はどんな人だったのだろうと考え続けました。

その中で、ひときわ印象に残ったのが4Gamerの追悼記事です。

www.4gamer.net

技術的な事も経営的な事も、全体的に「壮絶」としか言いようのない内容なのですが、強く心に残った箇所は二つ。

三津原氏:
(前略) ただ,それは別にして,岩田さんは漫画が大変にお好きで,少なくともハル研の頃は,週刊で発売される漫画を一通り読んでいたと思います。高橋留美子さんの「めぞん一刻」がお好きなんですよ。あと,映画の「スタートレック」シリーズも好きでしたね。 

4Gamer
 その二つからコンテンツの好みを読み解くのは,至難の業ですね(笑)。

   ~中略~

田中氏:
 そうです……ただ,私の中では岩田さんは「人間を理解したい」という気持ちがとてつもなく激しい人という印象も強くて,それがあれほどの「最適化」に行き着いた理由でもあるように思うんです。


めぞん一刻」「スタートレック」のどちらも、性別や種の違う者同士が出会ってすれ違いを繰り返しながら相互理解を目指す話です。亡くなった人の事なので真実はわかりませんが、この二つが好きだという事と、「人間を理解したい」という欲求は、つながっているのではないかという気がします。

nyanmage00.hatenablog.com

上記記事中、ほぼ日より対談引用させて頂きましたが、再引用します。
ほぼ日刊イトイ新聞 - 社長に学べ!

岩田氏:
そうですね。
だけど自分の価値体系のなかには、
「まわりの人がよろこぶ」とか、
「まわりの人がしあわせそうな顔をする」
とかいうことが、すごい上位にあるんですよ。 

糸井氏:
そうなんですよねぇ。

岩田氏:
「そのためなら、なんだってしちゃうよ!」
というところがあるんです。 

岩田聡という人にとって、「人を喜ばせたい、幸せにしたい」ということはなによりも価値があって、その裏には誰よりも激しく人を理解したい、理解されたいという気持ちが隠されていたように思えてなりません。


とても印象に残った点がもう一つ。
先の4Gamer記事中、岩田さんについては再三「問題解決の人」「最適化の人」と語られています。
その最たるものとして挙げられているのが、最晩年の入院生活についてです。

石原氏:
 実は,岩田さんはご自分の病気が何であるのか,告知を受けて正確に知っていたんです。
 そして,自分で最新の医学書とMacを病室に持ち込んで,自分の病状と今ある解決策を徹底的に学んだんです。それこそ医者より詳しくなるくらい,自分の病気に関して徹底的に研究していたんですね。
 そうして,私なんかが会いに行くと,「この病気で死ぬ確率と生き残る確率はそれぞれこれくらいあって,自分はこの線で行くのが最適解だと思う」と,いつもの問題解決を考えているときの調子で,楽しそうに話すんです。
  ~中略~
 最先端の治療を自分で試せないかと,様々なアイデアを主治医に相談したりもしていたそうです。私の知っている岩田 聡という人物は,そういうときに「人類の未来には,きっとこの病気は簡単に治るものになる。そのために今,自分は何をすればいいのか?」を考えていく人なんですね。彼は本当にエンジニアでしたから。

川上氏:
 ……。

石原氏:
 凄まじかったですよ。日々最新の医学書とネット情報を検索し,主治医をつかまえては議論するんです。岩田さんは自分自身の病気まで含めて,あらゆる「問題解決」について最後まで諦めませんでした。どこまでも前向きで,亡くなる直前まで解決策を考えていたんです。

 
このエピソードをどう解釈するかは意見が分かれるところです。
単純に「美談」と捉えるのは簡単ですが、私にはそれは違うような気がします。
あまり医学に明るくはないのですが、胆管腫瘍という病気はとても難しいそうです。自分が遠くない将来に死ぬかも知れないときに、怖くない人間などいるわけがないのです。

岩田聡という人は、自分から問題解決に当たることで、自分のストレスと向き合っていたのかもしれない、そんなことを思います。

www.1101.com

糸井さんの語る、大切な友人の思い出に泣きました。

まだ55歳で、これからというときに亡くなられましたが、これほど多くの人に強い印象を残したというのは稀有な事ではないかと思います。
人は残されたものとともに生きていかなくてはいけませんから。

本日7月12日、アメリカでポケモンGO大ヒットのニュースが飛びこんできました。
WiiUの低迷が続いていた任天堂にとっては久しぶりの明るいニュースです。
株式会社ポケモンの設立に尽力したのも岩田さんだったそうです。
岩田さんがまいた種は、確かに芽を吹いていたのだと思います。

 

とても好きなモノやヒトのことは、いくら文を連ねても気持ちがうまく伝わらないような気がしてもどかしいです。

 

故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

2016/07/21 追記その1

newspicks.com

もう様々なメディアで公開された情報なので今さら感ありありですが。
ポケモンGoも生前に寄与されていたプロジェクトの一つだそうです。
日本での公開が待たれるところです。

 

追記その2 

ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言

ゲーム界のトップに立った天才プログラマー 岩田聡の原点: 高校同期生26人の証言

 

あまり公開されたことのない学生時代のスナップ写真のような伝記。
部活とプログラミングに明け暮れる高校生活が同級生の証言で再現されます。プログレに傾倒してYesとピンクフロイドを語る姿が印象的。
「いい話だけじゃ嘘くさいので」という一文がとても好きです。

非常によかったので、この本はどうしても紹介したかった。